院内町二日市にある福巌寺境内には、江戸時代中期である正徳2年(1712年)に造られた閻魔洞があります。向かって左手に、三途の川で亡者の衣服を剥がす奪衣婆に迎えられ、入り口の左右には地獄の獄卒である牛頭馬頭があり、閻魔王を中心に、十王(秦広王・初江王・宋帝王・五官王・変成王・太山王・平等王・都市王・五道転輪王)と不動明王、薬師如来が立ち並び、背後左右それぞれに8体ずつの羅漢像(十六羅漢)などが安置されています。安心院町東恵良に存在する桂昌寺跡・地獄極楽と同様に大衆教導の場所であったと考えられます。また、閻魔洞前の三途の川を連想させる小さな池があり、その池に架かる石橋が指定史跡の羅漢橋です。輪石は羅漢様の数と同じ16本で組まれており、閻魔洞が造られた時代に架設されたのではないかと言われています。境内は春にはツツジ、梅雨の時期はアジサイが咲き誇り、秋にはアサギマダラが訪れ、日本の四季を多く感じることができます。