
(配信日:2021/03/12 08:23:36)
*08:23JST【本日の円相場見通し】ドル・円は108円台で推移か、株高持続で円買い抑制も
[為替市場オープニングコメント]
11日のドル・円は、東京市場では108円36銭から108円81銭まで反発。欧米市場で
は、108円73銭から108円36銭まで下落し、108円50銭で取引終了。本日12日のドル・円
は引き続き108円台で推移か。欧米株高を期待してリスク回避的な円買いは抑制される
とみられる。
欧州中央銀行(ECB)は3月11日開催の理事会で主要政策金利の据え置きと、パンデ
ミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れを4-6月期に拡大することを決定した。
ECBは借り入れコストの上昇を防ぐために、声明で「PEPPの下での買い入れを今年の初
めの数カ月と比べてかなり速いペースで実施すると理事会は予測している」と表明し
た。ラガルドECB総裁は記者会見で「ユーロ圏経済については、1-3月期もマイナス成
長に陥る」との見方を示したが、「全般的な経済状況は年内に改善すると予想され
る」との見方も伝えている。為替を目標にしていないとの方針は変わっていない。
PEPPの利用拡大などの措置は市場参加者の多くが想定していたようだ。大規模な金
融緩和策は維持されるが、今年後半にかけてユーロ圏の景気回復が期待されることか
ら、欧州諸国の長期金利は小幅な低下にとどまる可能性がありそうだ。
【テクニカル分析】
・短期:110.00円(心理的な節目)
・中期:105.00円(心理的な節目)
【ドル売り要因】
・米低金利政策の長期化
・米長期金利の大幅上昇は景気回復の妨げになるとの見方
・米国の増税観測
【ドル買い要因】
・ウイルスワクチン接種ペース加速で経済見通しは改善へ
・米追加経済対策の早期成立期待
・米長期金利の上昇
ユーロ・ドルは、1.0341ドル(2017/01/03)まで下落したが、1.2537ドル(2018/01/2
5)まで上昇。英国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決定し、ユーロ・円は一時10
9円57銭(2016/06/24)まで急落。その後114円85銭(2017/04/17)まで戻し、さらに1
37円50銭(2018/2/2)まで買われた。欧州中央銀行(ECB)は、パンデミック緊急購入
プログラム(PEPP)の買い入れを4-6月期に拡大することを決定した。ユーロ圏諸国の
長期金利の上昇は抑制されるが、株式市場の安定化が期待されることから、ユーロ売
り・米ドル買いは抑制される可能性がある。新たなユーロ売り材料が提供されない場
合、リスク回避的なユーロ売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられ
る。
【ユーロ売り要因】
・ECBはユーロ高を引き続き監視へ
・ユーロ圏経済は1-3月期も停滞予想
・米長期金利下げ渋りでユーロ買い抑制も
【ユーロ買い要因】
・2021年のユーロ圏経済は全般的に回復傾向
・米低金利政策の長期化観測
・欧州におけるウイルスのワクチン接種拡大への期待
[予想レンジ]
・ドル・円:108円00銭-109円00銭、ユーロ・円:129円50銭-130円50銭
[<国内>本日の為替関連スケジュール]
・08:50 1-3月期法人企業景気予測調査・大企業全産業景況判断指数(10-12月期:1
1.6)
[<海外>本日の為替関連スケジュール]
・16:00 独・2月消費者物価指数改定値(前年比予想:+1.3%、速報値:+1.3%)
・16:00 英・1月鉱工業生産(前月比予想:-1.0%、12月:+0.2%)
・16:00 英・1月貿易収支(予想:-125.01億ポンド、12月:-143.15億ポンド)
・19:00 ユーロ圏・1月鉱工業生産(前月比予想:+0.3%、12月:-1.6%)
・22:30 米・2月生産者物価指数(前月比予想:+0.4%、1月:+1.3%)
・22:30 カナダ・2月失業率(予想:9.2%、1月:9.4%)
・24:00 米・3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(予想:78.5、2月:76.8)
《MK》
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